こんにちは。
カフェジンタ三条烏丸 オーナーの小野仁土です。
前回のブログ記事「【カフェジンタ解体新書】創業編 失敗だらけの戦略ピラミッド」の冒頭で少しだけ触れたのですが、カフェジンタは京都市の北に位置する「岩倉」というところで、創業しました。
残念ながら、岩倉の地では、事業としての成功をつかむことができませんでした。
今回、戦略ピラミッドを用いて改めて分析をし、なぜ創業の2年間がダメだったのかということがハッキリ見えてきたと思います。
マーケティング戦略を完全に誤っていたからです。
詳細は「【カフェジンタ解体新書】創業編 失敗だらけの戦略ピラミッド」をご参照いただければと思います。
ところが、私は2006年~2008年の不発は店の場所が原因と考えてしまいました。
確かに、私が創業した場所は、都心部から外れた住宅街で、商売に適した場所とは言えませんでした。
後から考えれば、戦略的思考があれば、場所を変える前に、見直すべきことは山ほどあり、打つ手はまだまだありそうです。
しかし、その当時の私には戦略的思考が欠けていたので、一旦リセットしてやり直すことしか思い浮かびませんでした。
こうして、リセットして飛躍を目指して再スタートをきることになったカフェジンタが選んだ地は、現在も営んでいる「三条烏丸」です。
京都市の中でも有数のビジネス地区です。
岩倉で創業した際は、小さく起業することを最優先したのですが、今回は開店資金も限界まで投じてリスクをとっての移転です。
失敗の許されない状態での移転ですから慎重に慎重をかさねて事業を計画しました。
それまでの事業運営での反省点を総ざらいして、事業の方針も念入りに見直しをいたしました。
果たして移転開業の結果はどのように出るのでしょうか。
それではまた、移転に併せてたてられた事業計画を戦略ピラミッドに照らしながら、見ていくことにいたしましょう。
マーケティングに偏り過ぎた戦略
烏丸三条に移転したのは2008年です。
期待を胸いっぱいに移転したはずのカフェジンタでしたが、残念ながら2014年くらいまで業績が伸ばせず、低迷が続きます。
その6年間の戦略をピラミッドで表したのが、今回示す戦略ピラミッドです。

結論から言いますと、この時点での戦略ピラミッドにも大きな欠陥があります。
それは、新規客の獲得ばかりに、力をいれているというところです。
ミッションにはお客様にとっての価値を掲げられています。
この点は〇なのですが、そこから描いた戦略が創業編でご紹介した戦略のまま、内容が時代に併せて進化しているだけです。
この戦略のままでは、スタートアップで集客が出来ても、長い目で見て業績が伸び悩むのも当然のことでした。
顧客に価値を提供することをミッションを掲げることができたのは〇
創業時における失敗はなんといっても、ミッションがないことでした。
ミッションはお客様が求める状態を提供できることが理想です。
事業者側のやりたいことばかりをミッションにしてしまっては、お客様はその事業に期待を抱けず傍観者になってしまい、事業者側が顧客無視で一人走りしてしまいます。
烏丸三条に移転する時には、そうしたことを反省して、もっと顧客に寄り添ったお店作りをするように方針を変更しました。
そのためには顧客像を明確にする必要もありましたので、その点も深く掘り下げて検討しました。
なんといってもカフェなのですから、お客様が求めるものは美味しさだけではありません。
見えるもの・聞こえるもの・触れるもの等、その空間が与える刺激の全てで、お客様に価値提供ができなければなりません。
移転にあたって、心血を注いでその時点で私たちができる可能な限りことに手を尽くしました。
新規客獲得にばかり目を向けてしまった戦略
慎重を重ねた準備で移転開業をした三条烏丸のカフェジンタ。
しかし、残念ながらすぐには成功を実感できるところに辿り着くことができませんでした。
長い長い低迷期を過ごさなければいけなかった理由は、やはり戦略の不十分さでした。
移転により、すぐに客数は倍増したのですが、そこからがなかなか伸ばせません。
私は日々の来店者数を増やしていけないのは、認知度の低さにあると決めつけていました。
そのため、マーケティングで取った戦略は、ネットプロモーションに全面注力することでした。
ちょうどその頃がIT業界に大きなイノベーションが起こります。
スマートフォンの登場とSNSの流行です。
このIT業界のイノベーションに私は気を完全に奪われてしまい、盲目的にネットプロモーションに走っていました。
私に関心はこれらのイノベーションの波に完全に飲み込まれ、ネット上でのカフェジンタの存在感を高めることばかりに注力していました。
様々な斬新な取り組みを行ったので、雑誌やカフェ本とよばれるカフェ専門の情報誌などで多数取り上げられることには成功しました。
これにより、新規で来てくださるお客様は一定以上に獲得はできていたと思います。
認知度が上がるに十分な成果は出ていたのです。
ところが、業績が思うように伸びませんでした。
敗因は詰めが足りなかったこと。更に盛り込むべきだった戦略とは。
新規客の獲得に成功したのに業績が思うように伸びなかった理由は、リピート率の低さだったと推察できます。
推察と表現しているのは、お恥ずかしながら、来店客の新規orリピートを計測していなかったからです。
実は、カフェのような業態でリピート率を計測するのは難しく、カフェジンタで精度の高いリピート率を計測できるようになったのは、つい最近のことです。
ですので、非常に感覚的にでしかないのですが、今と比較するとリピート率は相当に低いものだっと思います。
なぜ、リピート率を上げることが出来なかったのか…。
理由は簡単です。
戦略に盛り込んでいないので、戦術を練ってもいなければ、そのための行動もないからです。
非常にもったいないことをしていました。
業績は伸ばせなかったが…
業績は伸びませんでしたが、新規の客は常に獲得できている状態でしたので、どうにかギリギリのところで店をたたまずにはやれました。
一応評価できる点もありますので、それはそれで分析はしておきたいと思います。
先述しましたように、ITイノベーションに気が奪われていたので、先端技術の情報収集は余念なく取り組みました。
自分で言うのもなんですが、かなり面白い取り組みはを色々とやりました。
- ツイートでカフェジンタのことを呟いたらiPadがもらえるキャンペーン
- 本格的なネットテレビ番組
- 60以上の他店カフェと連携してSNSを通じて展開したイベントの実施
- カフェポータルサイトの運営(ツイッターとインスタグラムをシステム連携)
今でこそ当たり前に同様のサービスがありますが、2008年~2011年くらいまでの時期で、このような取り組みをしている企業は大手でもありませんでした。
どのサービスも本腰入れてやっていれば、年商でカフェジンタの10倍以上のビジネスが出来ただろうと思います。
しかし、やらなかった。
本当はやらなかったのではなく、出来ませんでした。
これらのビジネスを成功させるためには、マネタイズする知識と知恵がなければできません。
自分のカフェでも、マネタイズに苦しんでいる状態の私では無理に決まっていますよね。笑
まとめ:飲食店の戦略にリピート対策は欠かしてはいけない
この時期のカフェジンタの残念なところは、リピート戦略が欠けていたことに尽きます。
これは飲食店経営に限らない話です。
見落としてはいけないのに見落としてしまう、あるいはどうやっていいかわからないまま、せっかくの新規客をリピートさせる術をもたずに、やみくもに事業運営を続けてしまっている。
そんな例もよく見かけます。
カフェジンタでは長い低迷期を経て、2014年からようやく暗いトンネルを抜けて、業績を伸ばすことに成功いたします。
次回のブログ記事ではこの点に着目して戦略ピラミッドを分析する予定です。
どうぞ、楽しみにしておいてくださいね。
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