【カフェジンタ解体新書】創業編 失敗だらけの戦略ピラミッド

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【カフェジンタ解体新書】創業編 失敗だらけの戦略ピラミッド

こんにちは。

カフェジンタ三条烏丸 オーナーの小野仁土です。

前回のブログ記事で予告した通り、今回から「カフェジンタ解体新書」がスタートです。

このシリーズは、カフェジンタの多すぎる失敗例と少しばかりの成功例をご紹介しながら、成功のためにどのような思考と行動が必要なのかを浮彫にしていく、というコンセプトで、お送りしてまいります。

「戦略ピラミッド」というビジネス理論を用いて解説してまいります。

この戦略ピラミッドについては前回のブログ記事で、僭越ながら松下幸之助の事業モデルを参考にしながら、解説いたしました。

まだ、お読みでない方は、是非一度読んでおいてくださいね。

詳細に入る前に、カフェジンタの創業時の構想のご説明をしておきます。

創業時の私がとった戦略は、インターネットで興味関心を持ったアクセスをホームページに集め、ホームページから実店舗のカフェジンタへ誘導するというものでした。

インターネット利用者が年々伸び続けていた時代に、ネットでの集客を選択したことは、業界に先駆けての取り組みでした。

しかし、残念ながら私は全くといっていいほど成果をあげることができませんでした。

このブログではその失敗の要因を、思いっきり詳らかにします。

良き反面教師となるかと思いますので、どうぞ最後までお付き合いください。

ダメダメすぎる!カフェジンタ創業当時の戦略ピラミッド

まずは、創業当時の戦略ピラミッドです。

創業は京都市の北に位置する岩倉で営業していた頃、年代的には2006年~2008年くらいのことです。

前回のブログでお話した通り、戦略ピラミッドそのものを私自身が習得したのがつい最近です。

創業当時の私はこれに合致するような戦略を立てておらず、チグハグもいいとこピラミッドとなっています。

その状態で起業したらどのようになるのかということを、今回のブログ記事を通じて貴方に追体験していただきたいと思います。

それミッションじゃない!!

早速解説を始めるのですが、しょっぱなのミッションのパートからいきなりやらかしちゃっています。

もう、これ一つで戦略ピラミッドとしては失敗。

事業の全てが無価値化しています。

「カフェジンタ開業物語」を最後まで読まれた方には、うすうす感じていた方もおられたかもしれません。

ミッションに据えたものは、当時の私にとって最も大切な音楽でした。

うつ病を克服する最終過程で音楽活動への情熱が再燃した状態で起業に突っ走りましたので、音楽一直線の状態でした。

とは言えプロの音楽家になって食っていけるとは自分では思っていませんでした。

「ならば、裏方として自分が素晴らしいと思うミュージシャンのライブを提供する店をやろう。」

これが、そもそものカフェの着想だったのです。

「ライブを気軽に楽しめるサービスを提供すること」は、私にとっての開業の形としての一つのゴールでした。

ただ、それ自体は悪いわけではないんです。

音楽でビジネスをしていくというスタートにたったつもりで、ビジネスモデルを構築すればよかったのです。

そのためには、ライブを提供することでお客さんが得られる本質的な価値をミッションに据えなければなりません。

この時の私の場合は、サービスそのものをミッションに据えようとしています。

自分なのでいくらでもキツいことが言えるんですが(笑)、もはや顧客の存在を無視した独りよがりビジネスごっこです。

戦略も何もあったもんじゃない。

しかも、ライブの楽しみが受け入れられお店が盛り上がっていくことを未来に描いていますが、これはただの願望。

ビジョンは正しい予測に基づいたこうなるであろう未来の中に描かれなければなりません。

時代というのは予測できても、そうそう簡単に作ることはできません。

ましてや、一介の脱サラ開業カフェにそんな実力あるわけないんですよね。

ミッションとビジョンを履き違えると、こうなっちゃうんだなぁという、これ以上ないというほどわかりやすい失敗例です。

戦略:ドメインの選択とマーケティングがチグハグすぎる

時はまだグルメサイトがスタートを開始したころで、ホームページ制作費用もまだまだ高かったころです。

独自ドメインでホームページを作っている飲食店は多くありませんでした。

私が他に先駆けてネットで高い露出を得ようとすること自体は、戦略としては正しい選択のようにも思います。

ただし、それは顧客を魅了するミッションがあっての話です。

ミッションがない時点で、戦略は意味を持ちません。

なぜなら、ミッションがなければ、ドメイン(活動する領域)を正しく選択することができないからです。

魚釣りで言えば、釣りたい魚が決まっていないのに、釣りをする場所を決められるわけがないのです。

私は何を釣りあげようとしてるのかも決めないまま、釣り場所を決め、魚がいるかどうかも確かめずに、釣り糸をたらしていたのです。

その結果、集客ができたのはライブイベント開催の時だけで、ライブのないカフェ営業日は来る日も来る日もお客さんがきませんでした。

それもそのはずで、カフェとして期待をしてホームページに訪れても、提供される情報がライブの事ばかりだったからです。

カフェに興味関心がある人で、なおかつライブの楽しみに興味がある人にしか、響きません。

するとどうなるでしょうか。

  • カフェに興味関心がある人(ライブに興味なし) → カフェとしての情報が不十分。候補から落ちる。
  • ライブに興味がある人(カフェに興味なし) → ライブがある日に利用を検討。カフェ営業日は利用しない。
  • カフェに興味があり、ライブに興味がある人 → ライブがある日に利用を検討。カフェとライブを同時に楽しむことが目的のため。

ライブのない営業日に客をとれず、ライブイベントの日にだけ客が来る状態となるのは、当然の結果でした。

私は沢山のお客様に来てほしいという気持ちと裏腹に、ネットを通じて顧客を選別するような結果を生んでしまっていました。

ドメインの選択を誤ると、いくら時流にのったマーケティング手法をとっても、成果があがらないどころか、逆に自分の首を絞めてしまいかねなないのです。

戦術を駆使しようにも相手すらいなければ宝の持ち腐れでしかない

当時の私は、ライブ情報を最新に更新したり、独学ながらウェブデザインの新しいトレンドなども取り入れたりと、常にホームページの鮮度を保つ努力をしていました。

無意識的ではありましたが、ウェブサイトへのリピートを促す基本セオリーにのっとっていたと言えます。

そういう点で戦術の取り方も悪くはありません。

しかし、残念ながら成果はえられませんでした。

理由はもはや述べる必要もないでしょう。

ビッグキーワードで検索1ページ目を獲得していても…。

いまでこそSEO対策などという言葉が当たり前ですが、2006年頃に検索エンジン対策なんてやっていたカフェがあったでしょうか…。笑

私は当時「京都 カフェ」というビッグキーワードで1ページ目を取っていました。

狙ったキーワードでメタキーワードの調整をして、HP内にの適所にちりばめるなど細かい工夫を積み上げて、SEO的にはそれなりに成果がでました。

この成果は自分で言うのも変ですが、なかなか凄いことだったと思います。笑

カフェブーム真っただ中のこの頃にビッグキーワードで上位に並ぶカフェは、カフェジンタを除いてどのお店もカフェ雑誌の常連店でした。

そうそうたるカフェが並ぶ1ページ目にカフェジンタも名前を連ねていたのです。

にも拘わらず、ホームページへのアクセスは閑古鳥でした。笑

アクセス数ははっきり覚えていないのですが、1日あたりせいぜい15~30PVくらいだったように思います。

かくして、インターネットで高い興味関心を得たアクセスを集め、実店舗への誘導をするという、私の描いた戦略ピラミッドは失敗に終わりました。

まとめ:何故ミッションの段階でこけたのか

以上が創業当初のカフェジンタの戦略ピラミッド分析です。

結果が出なかった理由は唯一つ。

ミッションの設定を完全に誤ってしまったこと、これに尽きます。

ミッションの段階でこけたビジネスは、絶対に成功できません。

ミッションに絶対欠かしてはいけないことは、顧客がその状態を欲しいと思う価値の実現を謳うことです。

では、なぜ私はミッションを打ち上げることなく、事業をスタートさせてしまったのでしょうか。

ここに重要なポイントがあります。

この時の私は経営者マインドが欠けていたのです。

サラリーマンマインドのまま、事業を始めてしまった。

会社員だった私は「やるべきことをやる」を求められていたし、それに応えることが全てでした。

経営者に必要なことは「やるべきことを選ぶ」ことであり、「すべきでない事を切り捨てる」ことでもあります。

この経営者マインドを欠いていることが私の創業時の決定的な欠陥だったのです。

もし、貴方が起業を考えているなら、私の創業時の失敗談を、是非教訓にしてください。

同じ轍(わだち)を踏まないよう、しっかりとした戦略ピラミッドを立てることが、成功への一番の近道であり、失敗を避ける最良の方法です。

さて、この後カフェジンタはどうなっていくのでしょうか。

この先も、まだまだ豊富な失敗談をご用意していますよ。

続きを読み進めることで、失敗談のみならず、少しずつ戦略ピラミッドが改良されていき、成功へ近づいていくプロセスも追体験できます。

「カフェジンタ解体新書」次のブログ記事もどうぞお楽しみに。

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