6月に入って、コロナ禍から日常生活を取り戻す動きというのが、少しづつ出てきました。
カフェジンタは先立って5月11日から営業を再開させ、街や出歩く人々の様子などをウォッチしてきました。
早めに営業を再開させたのは、「新たな日常生活」への対応を正確に実施するために、自分の目で「新たに必要とされるもの」を見極めたかったからです。
正直、営業を再開させたものの、お店は盛大に閑古鳥が鳴いております。
おかげで、余りある時間を手にすることができ(笑)、忙しい日常では出来なかった「新たなこと」に存分に注力できました。
今日はその「新たなこと」、今回導入しました「お客様がスマートフォンで注文できるオーダーシステム」のお話です。
カフェジンタの感染防止策

コロナ禍の日本社会において必須となっているのが、マスクと消毒スプレーです。マスクは個人で携帯ですが、消毒スプレーは施設側が用意しています。
この目的、マスクは人から人への飛沫感染対策、消毒スプレーはモノを介した接触感染への対策です。
施設の立場であるカフェジンタとしても、マスク着用や手洗い徹底、出入口や手洗いなどにアルコールスプレーを設置など、必要とされる感染防止対策は一通り実施しています。
今回、導入に踏み切るテーブルオーダーシステムは、カフェジンタのお客様の多くが手に触れるあるユニークな人気要素を見直すものです。
多くの人が手にすることでそれを介しての感染が広がることが懸念されるという考えです。
カフェジンタのアイドル的存在

そのユニークなものというのがコレ。メニューボックスです。
カフェジンタにご来店になった方ならご存知のことと思いますが、既存のメニューは非常に特徴的です。
写真の通り、メニューが木箱です。
この木箱の中に冊子状のメニューが三冊治まっていて、「カフェ」「ランチ」「ディナー」と用途によって分かれています。
2008年に三条烏丸でオープンして以来、ずっとこのメニュー箱がお客様のカフェタイムをお手伝いしてきました。
このユニークなメニューボックスがインスタ映えとまでは言いませんが、「ジンタといえばこのメニュー」という感じで、お客様のSNSによく取り上げられてきました。
このメニューボックスを使い始めて12年。形がかわいいので、たいていのお客様が興味津々で、メニューを1ページ1ページ丁寧に見てくださいます。
今まではこれでよかった。
でもこれからは…。
年間来店者数がざっくり勘定して1万5千人。この12年間で延べ15万人くらいでしょうか。
メニューボックスは4箱ですから、1箱あたり4万人弱の方が手に取られ、ページをめくられたことになります。
人口10万人あたりの感染者数を0.5人を基準として、自粛するかどうかという値です。
うちの規模で言えば10年に一人感染者が触れるかどうかという確率の話でしかないのですが、もしこの基準を超えたらレインボーブリッジや東京都庁が真っ赤になっちゃうご時世です。
「新たな日常」とはこの確率に警戒をしなければならないということを受け入れて、利益を出していかなければならないという事なわけです。
インスタグラムの投稿にありますように、昨年秋にオーバーホールしたところなのですが、これからの事を考えると、アイドルとして現役でい続けるわけにもいかなくなりそうだなと思うようになりました。
引退とまでは言いませんが、第一線から少し身を引いて、後身に立場を譲るべき時が来たのかもしれません。

「アプリからメニューを注文する」というスタイル
という訳で、満を持しての登場となりました、テーブルオーダーシステム。
お客様はテーブルについて、QRコードを読み取ってページを開いて、メニューを決めて、注文まで出来るという仕組みです。
iPhone,iPadが登場した当初から、こういうの出来るようにならないかなぁと思ってました。なかなかそういうアプリが登場しませんでしたが、ようやくここ数年で類似のサービスが登場しだしました。
ウーバーイーツやマクドナルドなどメジャーブランドで「アプリからメニューを注文する」というスタイルが浸透しつつあります。まさに今が旬であり、そして今後このスタイルは定着するだろうことは間違いありません。
そんじゃぁ、ウチもと思いまして検討を始めたのですが、昨年は過去最高の忙しさでなかなか具体的なアクションに至りませでした。
それが、このコロナ禍。ご多分に漏れない暇さ加減で、ちょうどいい機会だし検討し始めたんです。
当初はこういうサービスを提供する会社の採用を考えていたのですが、情報を収集しているうちに、多少手間はかかりそうだけど、ある程度のものなら自力で用意できそうだということがわかってきました。
ならば時間はたっぷりあることだし、自分でやっちゃおうということで、準備に取り掛かり、約1ヶ月で現場で使えるところまでたどり着いたという訳です。

メリット
新しいことを始めるというのは、なかなか煩わしいもので、それを浸透させるには今までより遥かによくなるメリットがないといけないと思っています。
- ウィルス感染のリスク低減
- 場所をとらない
- 注文の受付を待たなくていい
- 注文間違いの解消
- 追加の注文をしたい時も気軽にできる
- ウィルス感染のリスク低減
不特定多数の人が触れるメニューを触れずにすむことはもちろんのこと、メニューを渡したり注文を聞いたりするときの、人と人との接触を少なくするということも、感染リスクの低減に効果が期待できます。 - 場所をとらない
メニューというのは商品が多いほど大きくなります。見やすいメニューというのも大きくなるものです。テーブルという限られたスペースにメニューブックというのは、なかなかの圧迫感です。注文を選ぶときはいいのですが、決まってしまえばまったく不要のものです。それをオンラインという仮想スペースに置くというのは、実はなかなかの大きなメリットです。 - 注文の受付を待たなくていい
注文の受付というのはスタッフがその席に対応することを意味するのですが、実はこれに要する時間はホールオペレーションの中でも非常に大きいものです。また、この注文の受付を待たされる場合、お客様は非常にストレスを感じている、と私は考えています。満席の時など、言わずもがなです。このストレスが解消されます。 - 注文間違いの解消 注文間違いの原因は、伝言ゲームのそれとほぼ同じです。言い間違い、聞き間違い、伝え間違い。正確な情報の伝達はIT技術の最も得意な作業です。
- 追加の注文をしたい時も気軽にできる また、意外に思われるかもしれませんが、いつでも注文を気軽に追加できるというのも、お客様のストレス低減に大きな一役を買います。飲食店でスタッフに声をかけるとき、「すいませーん」なんて言わなくていいのですから。
デメリット
では、新しいことを始めるときに感じる煩わしさとは何なのか。その正体とは、なんとなくテキトーにデメリットを想像する気持ちだと思っています。デメリットを正確に知ることは、メリットを享受するための心の準備です。
- 勝手が違う
- お店の個性を楽しめない
- コミュニケーションが減る
- カタにはまることへの抵抗感
- 勝手が違う
カフェに入って、スタッフが水といっしょにメニューをもってくる。このことを人は思っている以上に当たり前につもりをしています。そうじゃないと、ほんの一瞬なのですが、あれ?ってな具合に感じます。その「あれ?」の感覚です。
- お店の個性を楽しめない
繁盛しているお店というのはメニューを見ると「なるほどぉ~」と思うことが多いです。それもそのはず、お店の創意工夫を集約してそこに表現しているからです。情報をしらせるツールという域を超えて、モノとして表現の域であることも多く、そこに表現された個性を楽しむことと同等の楽しみをオンラインに置きかえるといのは、かなり困難と言わざるを得ません。
- コミュニケーションが減る
注文を受けることはまさに接客の機会そのものですから、お客様がお気に入りの店員と会話を交えるという機会が減るように感じます。カフェジンタの場合に限っては、僕のようなオッサンがその機会の大半で役を担っているので、それがオンライン化したとてあまり影響はないかもしれません。笑
- カタにはまることへの抵抗感
オンライン化するということは、つまりコンピューターのプログラムで処理されるということです。その中身はすべてIFに対する処理です。プログラムコードに書かれたIFにない想定外の出来事にシステムは対応できません。逆に言えば使う側がプログラムに書かれた条件に合わせた行動をとらないといけない。なんだかコンピューターを使ってるはずが、コンピューターに合わせなくちゃならなくなっちゃってるじゃないか。。。こう感じることもあるかもしれません。
まとめ
ここまで、アフターコロナの「新たな日常」に向けて、カフェジンタとして準備していることとして、スマートフォンでオーダーできるシステムを用意した経緯と、それによるメリット・デメリットを書きました。
できるだけストレスを感じずに新しい生活を始めるには心の準備が必要です。
コロナによって、ある意味強いられる「新しい日常」は心の準備をする時間的猶予がないので、ストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。
こういう時こそ、人としての柔軟性が、もっとも大切なんだと思います。
人としての柔軟性というポイントから、今起きている社会問題を見てみるとなかなか面白いものが見えてきます。ホントとウソ、善と悪、必要と不要。数字に表れてきてるものも多いですね。
100年に一度といわれる大変な折ですが、震災や戦争のような悲惨な状態にあるわけではありません。
経済的には世界中で深刻なこの事態は、人としての柔軟性で、きっとうまく乗り切っていけるはずだと思います。
話がそれちゃいましたが、カフェジンタの新しい取り組みは、「今まで」に慣れているお客様に、多少なりストレスになることもあるかもしれません。
そこは私たちも人としての柔軟性でカバー。その上で「新しい日常」になじんだ飲食店のあり方を模索していく所存です。
どうぞ、今後ともあたたかくご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。